2019年3月29日金曜日

自得

武術に限ったことではありませんが、先生から技術や練習方法などを教えてもらうというのは一般的な学習法ですが、私の経験上、先生が手取り足取り何から何まで教えてくれる事はなく、間違っているところや良くないところは注意はしてくれますが、出来るようになる為の方法までは教えてくれる事はなかなかありません。それにはいくつかの理由が考えられますが、こういった形での教授法は伝統的な文化の継承では珍しいことではないと思います。そこで学生に求められるのが「自得」になりますが、それには目標とするビジョンが必要で、先生の動きを模範にする事はできますが、「自得」とは今話したようなその門派の技芸の伝承だけではなく、武術ならば自分の得意なものや自分(身体的特徴や特性など)に合ったものを磨いていくというのも「自得」の範疇に入るのです。この「自得」は繰り返し練習していく中で自然に気付きがあったり、理論が構築されたりしながら会得していくのですが、その過程で疑問や迷いが出てくる場合もあります。その疑問や迷いがその時のスキルで解決できない時や、或いは研究熱心なあまり、他のところから似ているなどという理由から技術や理論を持ち込んでしまう事もあるかも知れません。通備門に於いて他門派の技術を採り入れることは否定される事ではありませんし、採り入れられたものはやがて「染化」され統一されるのですが、まだ通備拳として完成されてない人が、それを「染化」させ統一させる事はできません。歴史ある門派ならば、疑問や迷いの答えはそこにあるはずですし、また歴代の先輩方の故事、エピソードの中にもヒントや目標となるビジョンがあることもあるのです。

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