初学者が最初に学び始めるものとして「通備弾腿」が一般的なようだと前回書きましたが、そこに求められるものは、なかなか体現出来るものではありません。なぜなら、歩型こそ馬歩、弓歩などの中国武術の初学者が最初に身に付けるべき物ですが、身体の操作法などの要求はその他のものと変わらないからです。この身体の操作法とは「大開大合」「擰腰切胯」などで、これらを実現するためには体力、柔軟性、身体意識(自分の身体の位置関係の把握)等が必要になってきます。因みに「中国武術大辞典」に拠れば、「通備弾腿」は馬鳳図先生が原有(←原文ママ)の弾腿の基礎の上に(中略)大量改進(←原文ママ)したとあるので、今のような練法になったのは馬鳳図先生から馬賢達先生の世代の頃という事になり、また「通備弾腿」を「入門技芸」と解説しています。私が馬先生の下で学んでいた頃は必ず基本の練習から始まり、その密度はその他の練習よりも高いくらいでした。その他の練習のための準備運動も兼ねているとはいえ、馬先生が基本を重視していたのは、限られた時間内でも基本の練習にかなりの時間を割いていたことからも容易に想像できます。「通備弾腿」に限らずその他のものにも、実用に向けてそれぞれ求めていくものがありますが、それらを身につけ体現するための通底した運動能力、或いは下準備というのが「基本」と言えると思います。武術で成功するためには基本を疎かには出来ないのです。
2019年2月25日月曜日
2019年2月1日金曜日
学習過程
通備門において初学者は十蹚弾腿から始めるのが一般的なようですが、私が最初に学んだのは一路劈掛拳でした。当時、馬先生は忙しかったためか学び始めた最初の頃は、代理として白鴻順先生が教えてくれたのですが、劈掛拳を最初にしたのは馬先生の指示か、或いは白先生の考えだったのかは分かりません。私見によれば一般的な学習の流れとして劈掛拳等の複招からなる套路は十蹚弾腿のような単招の後に学ぶのが自然に感じます。特に十蹚弾腿は馬歩、弓歩等通備拳というより中国武術の基本を学ぶには最も適していると言えるでしょう。但し、八極拳に於いては、単招練習である「金剛八勢」よりも、「架子功」としての位置付けである「八極小架」を先に練習する方が自然に感じます。もし、馬先生が劈掛拳から学ばせるようにしたのであれば、かなり昔の事で何を話したか記憶がないのですが、馬先生との面談の時に武術経験がある事を伝えた可能性があり、十蹚弾腿は後からでもいいと考えたのかも知れません。余談ですが、八極拳も「八極拳」を先に学び「八極小架」が後だったのですが、本来「八極小架」、「八極拳」の順で学ぶのですが、これは白先生の考えで先に「八極拳」になったと思います。このように私は体系的順序を追って学んできたわけではないのですが、現在進行形で私自身も学ぶ側の人間でありながらも今まで学んできたものを、体系の中で位置付けして整理したものを、当会での学習過程としていくつもりです。
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