2020年1月21日火曜日

トライアルアンドエラー

私は比較的長く中国武術に携わる者として、これまで学習や練習を通じて学んだことや気付いたこと、考えたこと等をこのブログで綴り、その内容は一個人の見解であるので賛否あると思いますが、これが誘い水となり読者の方々が中国武術を学ぶ上で何かの参考になればと考えています。元々私は人に教えたり何かを発信したりすることは考えておらず私ひとりのものとしてしか学ぶことを考えていませんでしたが、いつの頃からか馬賢達先生に教えていただいた通備拳を正しく伝えることが、馬先生への恩返しになるのではないかと考えるようになりました。私自身、今現在も正しい答え(馬先生から教わったもの、代々伝承されたもの)を求め試行錯誤を繰り返している一学生であり、その答えを知っている馬先生が目の前にいた当時を振り返れば、知りたいことや疑問があれば時には直接質問したり、又ある時は授業中に、馬先生に見てもらいたい動きを試してみて馬先生からの言葉を待つなどちょっとした策を講じていました。しかし、それで全ての疑問が解けるとは限らず、そういう場合は結局自分で残りの疑問や新たに出てきた疑問の答えを試行錯誤の中で見つけて行くということになるのですが、当時と違い同じ試行錯誤でも今では武術関連の情報は甚だ多く、その解決策をそこに求めるとその情報から得た知識がアドバンテージになり得る反面、本来、目の前にあるはずの答えが、その知識を取り入れて全く違う答えになってしまうこともあり得るのです。それは私自身が経験したことであり、それを経て今私が思うのは、先人達のように先生から授かったものを繰り返し練習する中で、自分の内面から答えを見つけることが本来の習得であり、それが次代への正しい伝統の継承となるということです。